聖書

信仰と共に運ぶ聖なる帰還

砂漠の風は、記憶を持っているようだった。バビロンの都を離れて十日余り。軋む車輪の音と、足を砂に取られる駱駝の歩みの中、エズラは時折、故郷という言葉の重みを噛みしめた。彼の故郷は、父祖たちの語り継ぐ、遠いユダの地である。実際に見たことは一度もない。それでも、その呼び声は胸の奥で軋み、こうして王の許可を得て、第二の帰還の群れを率いる身となっていた。

彼の手には、羊皮紙に記された名簿があった。アロンの子孫である祭司たち、ダビデの血を引く者たち、そしてパロシュからビワイに至るまで、十二の氏族の代表たる家長たち。ひとりひとり、志を同じくして旅立った男たちの名。家族の数は記されていない。女や子供たちの存在は、このリストの向こう側に、息遣いのように確かにあった。彼は目を細め、遠く霞む地平線を見た。この一行は、コミュニティーそのものだった。秩序ではなく、血と誓いで結ばれた、壊れやすい器のようなものだ。

カナンへの道程は、単なる地理的な移動ではなかった。彼らが運んでいたのは、自分たちのわずかな所持品だけではない。ペルシャのアルタシャスタ王が直々にエズラに託したものがある。神殿への奉納物。金、銀、そしてエルサレムの神殿で用いられる精巧な器物。その量は膨大だった。金六百五十タラント、銀百タラント…彼は暗算した。どれほどの誘惑となり、どれほどの危険を招く荷物か。王は警護の兵士と騎兵を提供すると申し出てくれた。それは当然の親切であり、この道中の盗賊や野営の危険を考えれば、賢明な選択だった。

エズラはテントの中で、灯りのゆらめきを見つめながら、あの時のことを思い返した。王の前で、彼はこう言った。「私たちの神、主は、主を求めるすべての者の上に御手を置かれます。しかし、主に逆らう者には、その怒りと憤りが臨みます」。だから、兵士はいらない、と。言い切ったのは信仰からだった。けれども夜の帳が下り、野営地の外から聞こえる慣れない野獣の遠吠えに耳を澄ますと、胃の底に冷たいものが広がるのを感じた。誇りではなく、恐れに近い戦慄だ。彼は王の前で、神の守りを大言壮語してしまったのではないか。この無防備な一行と、途方もない財宝を、ただ祈りだけに委ねてよいものか。

次の朝、彼はアハワの川の畔で皆を集めた。水音が穏やかに響くその場所で、彼は声を張り上げた。「私たちは、私たちの神に依り頼み、その深い憐れみをこの旅路に乞わなければならない」。そして断食を宣言した。王への頼みもしなかった、この困難な旅のための、真実の備えとして。肉体的な弱りは、魂の目を覚まさせる。空腹が内臓を締め付ける時間が流れる中、彼らは荷物から目を離し、天を見上げた。祈りは、整った言葉ではなく、砂に書かれたような、かすかな嘆きのようにも聞こえた。

断食と祈りの後、エズラは荷物の管理を厳格に定めた。十二人の祭司長と、同じく十二人のレビ人を選び出し、王や貴族、そして民がささげたすべての金銀、器物を、きちんと量って彼らに託した。「あなたがたは主の前に聖別された者だ。これらのものも聖なるものである。エルサレムの私たちの神の宮の宝物庫に入るまで、しっかりと監視せよ」。彼らは重い責任を、静かに、しかし確かな手つきで受け取った。金塊のずしりとした重み、銀の器の冷たい感触が、神聖と危険の両方を物語っていた。

旅は再開された。神の御手が確かに彼らの上にあることを、目には見えなかったが、感覚として知る時があった。例えば、野営地を囲むように吹きすさぶ砂嵐が、なぜか彼らの天幕だけを大きく揺るがさなかった時。あるいは、道案内の者が、ほとんど直感のように、砂漠の中のわずかな水場を見つけ出した時。護衛の兵士がいないという事実は、逆に、全員の目を覚醒させた。男たちは自然と夜警の順番を決め、女たちは子供たちを囲むように眠り、荷物は常に誰かの視界に入っていた。それは強制された規則ではなく、共同体が自らを守ろうとする本能に近いものだった。

そして、ついにエルサレムの丘が遠望できる地点にさしかかった。疲労と安堵が入り混じったため息が、列のあちこちから漏れた。到着そのものは、何の事件もなく、むしろあっけないほど平穏だった。三日の休息の後、彼らは神の宮でささげものをした。金銀と器物は、すべて量られ、記録され、祭司たちの手で宝物庫に納められた。数字が正確に合った。一枚の銀貨も、一片の金も欠けていなかった。

奉献が終わり、夕闇が迫る宮の庭で、エズラは一人、立ち尽くしていた。バビロンからの長い旅路を、頭の中でなぞり返す。あのアハワの川での断食。あの時感じた恐れ。そして、ここまでの無事。それは、信仰が報われたという単純な物語ではなかった。むしろ、信仰を口にした自分自身が、その言葉の重さに押しつぶされそうになりながら、それでも一歩一歩進むことしかできなかった道程だった。護衛を断ったのは、神への信頼の表明だった。だが、彼が実際に行ったのは、祈り、断食し、人を選び、荷物を管理するという、極めて現実的で、地に足のついた備えだった。神の守りは、彼らの慎重さと緊張感の中に、かすかに息づいていたのだ。完全な無力と、完全な自力の、その狭間で、彼らの旅は成就した。

風がもう一度、彼の髪を揺らした。このエルサレムの風は、バビロンのそれとは湿り気が違い、何か懐かしい土の匂いがした。彼は深く息を吸った。帰還は終わった。しかし、ここからが本当の始まりだ。破れかけた共同体を、この聖なる地で、もう一度織り上げていくという、気の遠くなるような仕事が。彼は暗くなり始めた空を見上げ、祈りの言葉を、まだ形にしない思いのまま、胸に留めておいた。

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