聖書

安息日の宴と招かれざる客

その日は安息日だった。エルサレムへ向かう道すがら、イエスはあるパリサイ派の指導者から食事に招かれていた。秋の日差しは斜めに傾き、石畳に長い影を落としていた。弟子たちは少し緊張した面持ちで、先生の後ろをついて行く。招かれた家は、中庭にブドウ棚が設えられた、裕福な者の住まいだった。

家の中には、すでに様々な客人が集まっていた。律法学者や、敬虔なふりをした者たち。彼らは皆、意識的に優れた席を探しているようだった。部屋の奥には、水腫を患った男がうつむいて座っていた。彼の顔は苦痛に歪み、腫れ上がった足は粗末な布で覆われている。誰も彼に近づかず、まるで不吉なものを見るような視線を向ける者さえいた。安息日だった。癒しなど、もってのほかだ。

イエスはその男を見つめ、少し間を置いた。室内には、緊張が走った。パリサイ人たちの目が、批評の刃のようにイエスに注がれる。

「安息日に病気を癒すことは、律法で許されているか」

イエスは静かに、しかし誰にも聞こえる声でそう言った。彼らは黙っていた。彼は続けた。「あなたがたのうち、だれかが、安息日に牛かロバが井戸に落ちたなら、すぐに引き上げてやらないだろうか」

彼らは答えられなかった。言葉が喉に詰まった。イエスは水腫の男に手を伸ばし、その腫れた足に触れた。触れた瞬間、男の体が微かに震えた。色が変わった。腫れがひき、皮膚が普通の張りを取り戻していく。男はゆっくりと立ち上がり、驚きの余り、自分の足を見つめた。そして、涙を浮かべてイエスを見上げたが、イエスはもう彼を見ておらず、周囲の者たちに語りかけていた。

「だれかが婚礼の招待を受けたなら、上座に着いてはいけない。あなたよりも身分の高い人が招かれているかもしれないからだ。そうすれば、招いた者が来て、『この人に席を譲ってください』と言い、あなたは恥をかいて末席に着くことになる」

食事の席が整い、人々が着席し始めた。一人の客が、わざとらしく中央の席に腰を下ろした。別の者は、友人と声高に話しながら、良い位置を確保しようとしていた。イエスの言葉は、そんな彼らに鋭く刺さった。彼は話を続ける。

「むしろ、招かれたときは末席に着きなさい。そうすれば、招いた人が来て、『友よ、もっと上席に上がってください』と言うだろう。そうして、同席した人々の前で栄誉を受けることになる」

一同は静まり返った。最初に上座に着いた男が、微妙に顔を赤らめ、席を変えようとそわそわしている。イエスはその様子を一瞥し、さらに言った。

「あなたが宴会を催すとき、友人や兄弟、裕福な隣人を招いてはいけない。彼らもまた、あなたを招き返すだけで、あなたには報いがない。むしろ、貧しい人、体の不自由な人、足の悪い人、目の見えない人を招きなさい。そうすれば、彼らは報いることができないから、あなたは幸いである。正しい人々の復活の時、あなたは報いを受けるだろう」

その言葉に、ある客人が軽く嘲笑するように口を開いた。「復活の時など、誰が目にすることができましょう」

すると、イエスは彼を見据え、一つのたとえを語り始めた。

「ある人が、大宴会を催して、大勢の人を招いた。宴会の時刻が近づくと、僕を送り、招いておいた人々に『もう用意ができましたから、おいでください』と言わせた。すると、彼らは一斉に断り始めた。

最初の者は言った。『畑を買いましたので、見に行かなければなりません。どうぞ、お許しください』

次の者は言った。『牛を五頭買いましたので、それを試しに行きます。お許しください』

また別の者は言った。『妻をめとりましたので、参ることができません』

僕は帰り、主人にこれらのことを報告した。すると、家の主人は怒り、僕に言った。『急いで町の大通りや路地へ行き、貧しい人、体の不自由な人、目の見えない人、足の悪い人を連れて来なさい』

僕が『ご主人様、お言いつけのとおりにいたしましたが、まだ席があります』と告げると、主人は言った。『街道や垣根のあたりに出て行き、無理にでも人々を連れて来て、家を満たしなさい。あの招かれた者たちの中で、わたしの宴会を味わう者は一人もいない』」

イエスの声には、悲しみとも怒りともつかない響きがあった。パリサイ人の家の庭には、夕闇が忍び寄り、オリーブの木の葉が風にそよぎ始めていた。話を聞いていた群衆の中から、熱心な一人が叫んだ。「先生、あなたと共にいる者は、なんと幸いなことでしょう!」

イエスはその男を見つめ、目を細めた。その表情は優しさと、ある種の厳しさが混じっていた。

「だれでも、父、母、妻、子供、兄弟、姉妹を、さらに自分の命までも憎まないなら、わたしの弟子になることはできない。自分の十字架を負ってわたしについて来ない者は、わたしの弟子になることはできない」

沈黙が訪れた。弟子たちの顔が硬直する。イエスは続ける。

「あなたがたのうち、だれかが塔を建てようとするとき、まず費用を計算してみないだろうか。基礎を築いて完成できないなら、見ていた人々が嘲り、『あの人は建て始めたが、完成できなかった』と言うだろう」

「また、どんな王でも、ほかの王と戦おうとするとき、まず一万の兵で向かってくる二万の兵に当たれるかどうか、考えてみないだろうか。もし当たれないなら、使者を送って和を講じるだろう」

「だから、同じように、あなたがたのうち、だれでも、自分の財産の一切を捨てないなら、わたしの弟子になることはできない」

話が終わると、イエスはゆっくりと席を立った。水腫が癒された男は、まだ部屋の隅に立ち尽くしており、イエスが通り過ぎる時、深く頭を下げた。イエスは彼に軽くうなずき、弟子たちを連れて夕闇の道へ歩き出した。

外では、最初の星が東の空に瞬き始めていた。弟子たちは黙ってついて行く。イエスが言った言葉の重みが、彼らの胸に沈んでいた。ふと、イエスが足を止め、振り返って言った。

「塩は良いものだ。しかし、塩も効力を失えば、何によって味がつけられよう。畑にも肥やしにも役立たず、外に投げ捨てられるだけだ。耳のある者は聞きなさい」

彼らはその言葉を、心に刻みながら、夜の道を歩き続けた。遠くで、どこかの家から宴会の笑い声が風に乗って聞こえてくる。それは、あのたとえの宴会のように豊かに響いたが、やがて風に消え、深い静寂の中に帰っていった。

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です