聖書

ヨシュアへの約束

ヨルダン川の東側、モアブの野営地には、重たい沈黙が広がっていた。砂塵をまとった風がテントの布を揺らし、朝もやが遠くの丘陵をぼんやりと覆っている。焚き火の跡はすでに冷え、灰がそっと舞う。モーセが逝って三日。民の間に漂うのは、喪失感だけではなかった。先が見えない、あの圧倒的な不安だ。大人たちは口数少なく仕事を続け、女たちは黙って水がめを運び、子どもたちでさえ、普段の無邪気な声をひそめていた。指導者を失った群れは、川の流れに逆らう小舟のようだ。

その中央の幕屋の前に、一人の男が立っていた。ヨシュア。かつてはヌンの子ヨシュアと呼ばれた偵察者。今では白髪が顎鬚に混じり、長い荒野の旅が顔に深い皺を刻んでいる。彼は目を閉じ、掌に残る乾いた土の感触を確かめていた。肩には、かつてモーセが担っていた重みがのしかかる。否、それ以上だ。約束の地は目の前だ。あの川を渡れば、乳と蜜の流れる場所が待っている。しかしその川は、今日はとりわけ広く、深く見える。

「ヨシュア。」

声は、風の音とも、心の鼓動とも区別がつかないかたちで、彼の内側に響いた。彼ははっと目を開けた。周りには誰もいない。しかし、その呼びかけは確かだった。彼はゆっくりと幕屋の入口に向き直った。獣皮の垂れ幕が、微かに揺れている。

「わたしのしもべモーセは死んだ。今、あなたとこのすべての民は立って、このヨルダン川を渡り、わたしがイスラエルの人々に与える地に行け。」

それは、懇願でも、提案でもなかった。岩を砕くような、しかし渇いた地にしみ込む水のような、断言の響きだった。ヨシュアは膝が震えるのを感じた。かつてカデシュ・バルネアで、彼とカレブだけが攻め上れと叫んだあの日を思い出す。しかし今、彼は単なる斥候ではない。先頭に立たねばならない。

「あなたの足の裏で踏む所は、ことごとくわたしがあなたに与えたとおり、わたしはモーセに約束した。あなたがたの領土は、この荒野からレバノンまで、また大川ユーフラテスからヘテ人の全土に至り、日の入る方の大なる海にまで及ぶ。」

神の言葉は、地図を広げるように、目の前に広大な風景を描き出した。ヨシュアは、かつて偵察で密かに眺めた、あの豊かなぶどうの房の記憶を呼び起こす。しかし同時に、そこの堅固な城壁、戦士たちの姿もちらつく。かつては十二人で、今は全民を率いて。彼は無意識に拳を握りしめた。

「あなたの一生の間、あなたに立ち向かう者のないようにしよう。わたしがモーセとともにいたように、あなたとともにいよう。わたしはあなたを見放さず、あなたを見捨てない。」

見放さず、見捨てない。その言葉が、胸の奥深くに染み渡ってゆく。まるで冷え切った体に、温かな油が注がれるようだった。彼はゆっくりと息を吸い、荒野の乾いた空気を肺いっぱいに満たした。すると、続く言葉は、優しさを含みながらも、鉄の芯を持つものだった。

「強くあれ。雄々しくあれ。あなたは、この民にわたしが彼らの先祖に与えると誓った地を継がせなければならない。ただ強く、雄々しくあれ。わたしのしもべモーセがあなたに命じたすべての律法を守り行うために、心を堅くし、勇気を出せ。右にも左にもそれてはならない。そうすれば、あなたは行く先々で栄える。」

律法。あの石の板に刻まれた言葉。モーセが顔を輝かせて幕屋から持ち帰った、あの命の教え。それを胸に刻み、民に教え、守り行うこと。それが、戦い以上の彼の務めなのだ。神は、続けて言われた。

「この律法の書をあなたの口から離すことなく、昼も夜もそれを口ずさめ。そこに記されていることをことごとく守り行うためである。そうすれば、あなたの道は栄え、あなたは栄える。」

口ずさめ。瞑想せよ。寝ても覚めても、それを思いに留めよ。ヨシュアはうなずいた。彼の不安は、消えたわけではない。しかしそれは、霧のようにただよっていた靄が、少しずつ形を変え、進むべき道筋を照らす光に変わり始めたような感覚だった。神の臨在が、幕屋という特定の場所に留まらず、彼自身と共にあるという確信。それが、骨の髄から勇気を湧き上がらせた。

「わたしはあなたに命じたではないか。強くあれ。雄々しくあれ。恐れてはならない。おののいてはならない。あなたの神、主があなたの行く所どこにでも、あなたとともにあるからである。」

最後の言葉が静かに響き渡ると、朝日がちょうど東の山々の稜線から溢れ出し、野営地全体を金色に染め始めた。ヨシュアは長い間、立ち尽くしていた。そして、ゆっくりと踵を返し、民が集まる広場へと歩き出した。足取りには、さっきまでの逡巡はなかった。確かに重い。しかし、その一歩一歩が、堅い大地を踏みしめる確かな感覚を伴っていた。

彼は長老たち、部族の長たちを集めた。人々の顔には、期待と疑念が入り混じっている。ヨシュアは、かつてモーセがそうしたように、深く静かな声で語り始めた。

「主は、わたしたちにこう告げられた。『準備を整えよ。三日のうちに、あなたがたはこのヨルダン川を渡り、あなたがたの神、主があなたがたに所有させようとしておられる地を取りに行く。』」

ざわめきが走った。彼はそれを制止するように、少し声を大きくした。

「ルベン人、ガド人、そしてマナセの半部族には、モーセが約束されたとおり、ヨルダンのこちら側の地が与えられる。しかし、あなたがたの戦士たちは、武装して兄弟たちの先頭に立ち、彼らが安住の地を得るまで、共に渡らなければならない。主があなたがたに安住を与えられたら、この約束の地に帰ることができる。」

かつてモーセと交わされた約束を、彼は確かな口調で確認した。人々は互いに顔を見合わせ、うなずく者もいた。ヨシュアは一呼吸置き、一人一人の目を見据えるように言った。

「彼らはあなたがたに答えた。『あなたが命じることなら、何でも行います。あなたを遣わされる所へ行きます。モーセに聞き従ったように、あなたに聞き従います。ただ、あなたの神、主がモーセとともにおられたように、あなたとともにおられますように。』」

これは、民の同意であり、同時に切実な祈りだった。ヨシュアはそれを深く受け止めた。彼自身の内側で沸き起こった確信を、今、言葉にしなければならない。

「主が、この全地を私たちの手に与えられると、私は信じる。しかし、それは私たちが、主の道に堅く立ち、主の律法から右にも左にもそれない時にこそ、実現する。強くあれ。雄々しくあれ。恐れるな。主は共におられる。」

彼の言葉は、熱でもなく、興奮でもなかった。むしろ、長い歳月を経て鍛えられた鋼のような、静かで冷たい確かさに満ちていた。人々の表情が、少しずつ変わっていくのを感じた。曇っていた目に、かすかな光が灯る。

命令が下された。食糧の備え、武器の点検、家族の配置。野営地は、悲しみと停滞の空気から、確かな目的を持った活動のざわめきに変わった。幼子を抱えた女たちの声が聞こえ、鉄を研ぐ音が響く。ヨシュアは自分のテントに戻り、革の筒から取り出した律法の写しを広げた。羊皮紙の上を指でなぞりながら、彼は低声で言葉を紡いだ。

「強くあれ。雄々しくあれ。」

夕闇が迫り、最初の星が東の空に輝き始めた。ヨルダン川の流れる音が、風に乗ってかすかに聞こえてくる。あの川を渡れば、約束は現実となる。戦いと、苦難と、祝福の日々が待っている。ヨシュアは巻物を巻き直し、胸のうちにしっかりと収めた。彼の心には、もはや迷いはなかった。ただ、これから歩む長い道のりの重さと、それに付き従う確かな約束の光だけが、交互に鼓動を打っていた。荒野の夜は寒くなってきたが、彼の内側には、消えることのない炎が灯り続けている。

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