聖書

嘆きの預言者エレミヤ

夕暮れがエルサレムの石壁を鈍い赤に染めていた。丘の上にひとり佇む男の影が、だらりと伸びていた。エレミヤは、眼下に広がる屋根の海を見下ろしながら、喉の奥で滾るものを必死に飲み込んでいた。泣きたいというよりも、もう泣くことも涙も尽き果てた、というような感覚だった。風が吹き上がり、彼の粗末な外套の端をぱたつかせた。乾いた埃と、遠くで焚かれるごみの臭いが混ざった、町特有の匂いが鼻をついた。

「ああ、わたしの身に、荒野にいる旅人の宿があるならよいのに。」

彼の唇が微かに動いた。誰に言うでもない呟きは、風に散らされてしまった。ここには留まれない。町中が罠で満ちている。隣人が笑顔で近づき、手を握りながら、その掌には小さな刃が隠されている。兄弟の名で呼び合いながら、互いの足元を狙って罠を仕掛ける。そんな日常が、この町の空気そのものになっていた。

数日前のことも思い出した。広場で、二人の男が親しげに肩を組み、取引の話に興じていた。片方は滑らかな笑みを浮かべ、「兄弟よ、安心してお任せください。この品は間違いありません。」と繰り返す。もう片方は、うなずきながら、しかし目尻にわずかな疑いの影を宿していた。エレミヤは遠くからそれを見て、胃が締め付けられるのを感じた。その取引は、偽りの天秤と欺きの升が介在する、ごく普通のものに過ぎないのだ。言葉はもはや、真実を運ぶ器ではなく、巧妙に仕組まれた罠であった。舌は弓のように引き絞られ、偽りを鋭い矢として放つ。この地では、誠実が愚かさの証とされ、悪が巧みにやり過ごされる術として称えられていた。

家に帰れば帰ったで、妻や子とて全く別の顔を持つかもしれない、そんな疑念が、埃のように心の隙間に積もっていく。隣人を信じて心を開けば、たちまち嘲りの材料にされ、内緒話は次の日には町中に面白おかしく広められる。エレミヤは目を閉じた。瞼の裏に、主の言葉が疼いた。

「見よ、わたしは彼らを熔かして試す。わたしの民の娘が傷つけられたからには、他に何ができようか。」

熔かして試す。銀を精錬する火のように。しかし、ここから出るのは純粋な金属ではなく、もっと粘っこい、嘆きの残滓のようなものではないか。彼は思考を巡らせた。主は言われる、この民のゆえに、泣く者を呼び、嘆きの女たちを招け、と。早く来て、われわれのために悲しみの歌をうたえ、と。だが、ここにはもう、本物の悲しみを歌える者がいるだろうか。涙さえ、儀式の一部になり下がってはいないか。

彼の足は無意識に、町の外れ、ケデロンの谷へと向かっていた。日は完全に沈み、不気味な青黒い闇が谷間を埋め始めていた。ここには、命の気配が乏しかった。以前は緑が茂り、子供たちの声が響いた場所だ。今は、ごつごつとした岩肌と、所々にへばりつくような枯れ草があるだけだ。主の言葉が、この風景に重なった。

「わたしはエルサレムを石だらけの荒れ地とし、山犬の住みかとする。ユダの町々を荒廃させ、住む者なくする。」

遠くで、本当に山犬の遠吠えのような気配がした。あるいは風の音か。エレミヤは震えを覚えた。これは単なる脅しではない。すでに始まりつつある現実の、ほんの前触れなのだ。なぜ、こんなことになったのか。知恵ある者が、それを尋ねるならば、答えは明白だった。彼らがわたしの律法を捨て、その声に従わず、歩まなかったからだ。かたくなに自分の心のままに歩き、バアルに従ったからだ。

ふと、幼い頃に聞いた、古老たちの話を思い出した。豊かなぶどう畑と、満ち足りた打ち場の話を。それは今や、色あせた夢のように感じられた。現実は、鋭い剣、苦い死の現実だ。刈り入れ人は来るが、それは麦束を集めるためではなく、息あるものすべてを刈り取るためだ。倒れる者は町の広場でも、家の奥の寝室でも同じだ。父母も子も別れ、兄弟も友人も、この疫病の前では無力だ。

エレミヤは岩の上に腰を下ろした。冷たい石の感触が、外套の布地を伝わってきた。彼はそこで、ただ座り続けた。星空が、谷の上に広大な闇の天蓋を広げていた。その静寂の中に、彼はもう一つの声を聞いた。それは、熱情や怒りとは違う、深く静かな響きだった。

「知恵ある者はその知恵を誇ってはならない。勇士はその勇力を誇ってはならない。富める者はその富を誇ってはならない。誇る者は、ただこれを誇れ。目ざめてわたしを知ること、わたしが主であって、地に慈しみと公正と正義を行う者であることを。」

この言葉は、谷間の冷たい風よりも鋭く、しかし炉の中の炭火のように、彼の胸の内側を温めた。全てが闇に塗りつぶされ、欺きがはびこるこの地で、確かなるものはこれだけだ。知恵も、力も、富も、砂上の楼閣のように崩れ去る。しかし、主を知ること。主が慈しみと公正を愛しておられることを知り、それに歩みを合わせること。そこにのみ、揺るぎない礎がある。

夜明け前の最も深い闇が訪れた。エレミヤはゆっくりと立ち上がった。足は重く、心は依然として鉛を詰めたようだった。彼には、これからも町に戻り、耳を塞がれる言葉を語り続ける日々が待っている。しかし、岩のように冷たい確信が、その重い歩みの底にあった。誇るべきは、ただ一つ。闇がどんなに深くとも、それを知り、それを告げ知らせること。彼は再び、闇の中を、わずかな星明りを頼りに歩き始めた。足元で小石が転がる音だけが、不確かな時間の中に、かすかなリズムを刻んでいった。

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