エーゲ海からの風が、コリントスの港に昼下がりの湿り気を運んでくるころ、マルコスの家の広い中庭には、人々の声が低く渦巻いていた。石畳の上に投げかけられたオリーブの木陰で、十数人の男女がそれぞれの場所に腰を下ろし、あるいは立ったまま、何かを待っていた。一人の男が、パピルスの巻物を手に、日陰からゆっくりと歩み出た。彼の名はステパノ。ローマから帰ってきた船乗りから、奇妙な贈り物を託されていた。
「兄弟たち、姉妹たち。」ステパノの声は、潮風にさらされて少しかすれていた。「これは、パウロから届けられた手紙です。アカイアの地にいる、すべての聖徒たちに宛てられたものだと、船長は言っていました。」
中庭にざわめきが走った。パウロという名は、この集いの中にあって、ある者には懐かしい師の名であり、ある者には、遠くで奮闘する同胞の名であった。ステファノは巻物を解き、読み始めた。
初めの言葉は挨拶であり、感謝の言葉だった。しかし、やがてその内容は、コリントスのこの小さな群れが、ここ数か月、胸にしまい込んでいたもやもやとした問題へと、鋭く切り込んでいった。賜物について。御霊について。そして、「からだ」について。
アレキサという名の、髪に白いものが混じり始めた女が、俯き加減に自分の手を見つめていた。その手は、長年の織物仕事で節くれ立っていたが、病人に触れると熱が引く、という評判があった。彼女はそれを「癒しの賜物」と呼ぶことを、いつもどこか気恥ずかしく思っていた。むしろ、ただの「手の温もり」ではないか、と。
部屋の隅で、若いレビという男が、無意識に指を膝の上で動かしていた。彼は言葉にされる前の、人々の心のざわめきを、時に「聞く」ことがあった。それは彼をしばしば孤独にした。理解されない予感のようなものが胸を締め付け、口を閉ざさせた。他の者たちが、熱心に異言を語り、預言らしき言葉を叫ぶのを見て、彼の内なる声は、かえって沈黙した。
パウロの言葉は、中庭を静かに満たしていった。
「…御霊は同じ御霊であっても、賜物には違いがあり、奉仕には違いがあり、働きには違いがあります。」ステパノの声は、ゆっくりと確かに進む。「しかし、すべてのこれらのことを行うのは、同じ唯一の御霊であり、それぞれに分け与えてくださるのです。」
オリーブの木の葉がかすかに揺れ、光の斑点が石の上を揺らめいた。アレキサは、ふと、先週のことを思い出した。漁師のヨセフが高熱にうなされ、床に伏せている時、彼女はただ手を額に当て、何も言葉にできなかった。しかし翌日、ヨセフは鮭を捌く手つきで、「あの手が触れると、悪いものが引いていくようだった」と笑って言った。それは賜物なのか。ただの偶然なのか。
パウロの手紙は、さらに深く核心を突いていく。あたかも、この中庭にいる一人一人の胸中を見透かしているかのように。
「もし足が、『私は手ではないから、からだに属さない』と言ったところで、そんなことでからだに属さなくなるでしょうか。もし耳が、『私は目ではないから、からだに属さない』と言ったところで、そんなことでからだに属さなくなるでしょうか。」
冗談めいた比喩だった。しかし、冗談ではすまされない真実が、そこにあった。レビははっとした。彼はかつて、まるで耳だけが、巨大なからだから切り離されたように感じていた。すべてが騒がしく、自分の内に聞こえる微かな声だけが、何の役にも立たないと思っていた。
ステパノは読み進めた。その言葉は、単なる教えを超え、一つの大きな「かたち」を描き出していった。多くの部分から成る、一つのからだ。キリストというかしらを持ち、それぞれが互いを必要とする、生きて動く有機体の姿。
「目が手に向かって、『あなたはいらない』と言うことはできない。頭が足に向かって、『あなたはいらない』と言うこともできない。それどころか、からだの中でほかよりも弱く見える部分が、かえってなくてはならないものなのです。」
アレキサは、織り機の前で糸が一本抜けると、模様全体が崩れてしまうことを知っていた。レビは、港で櫓を漕ぐ奴隷たちの、一つになった唄声が、重い荷物を動かす力を生むのを見たことがあった。
読み手のステパノ自身、その言葉に圧倒されていた。彼の賜物は、むしろこの「読む」という行為そのもの、正確に、明晰に、感情を排して言葉を届けるという地味なものだった。今日まで、それは賜物だとは思ってもみなかった。
やがて、手紙は結びへと向かった。「あなたがたはキリストのからだであり、また、一人一人はその部分です。」そして、最も偉大な道へと読者を招く言葉で締めくくられた。
巻物が閉じられても、しばらくの間、中庭には深い沈黙が流れた。潮風が運んでくる塩の香り、遠くの市場の喧噪、そして隣に座る兄弟の息づかいが、急に鮮明に感じられた。
最初に動いたのは、アレキサだった。彼女はゆっくりと立ち上がり、レビのほうへ歩み寄った。何も言わず、彼の手をそっと握った。冷たかったその手に、彼女の節くれだった温もりが移っていくのを、二人は感じた。レビは顔を上げ、初めてその目をしっかりとアレキサに向けた。彼の内側で、長い間押し殺されていた「耳」が、ようやく、からだの中にある自分の場所を見いだした瞬間だった。
日は傾き、中庭を長い影が覆い始めた。人々は静かに立ち上がり、互いに触れ合い、言葉を交わし始めた。今日のパピルスの言葉は、教えというより、一つの「発見」だった。彼らは、ばらばらな欠片ではなく、不思議な一つの命の、それぞれ固有の動きだったのだ。
ステパノは巻物をそっと巻き直し、胸に抱いた。エーゲ海は、夕闇の中で金色から深い藍色へと色を変えていった。この港町の、この小さな家の、取るに足らない群れ。しかし、そこには今、目には見えない一本の糸で結ばれた、比類なき「からだ」の一部が、息づいていた。それは、完璧でもなければ華々しくもない、足りないところだらけの、しかし確かに生きている一致だった。パウロの言葉は、紙の上を離れ、石畳の上を歩く彼らの足取りの中に、そしてこれから交わされるささやかな食卓の中に、沈み込んでいった。




