エルサレムの丘は、夕闇に染まりつつあった。ダビデは石造りの部屋を歩きながら、指先で壁の凹凸をなぞった。冷たい感触。何年もの戦いの後、ようやく訪れた平穏が、かえって彼の胸に大きな空虚を広げていた。主が敵を全てその手に渡してくださった。今、王国は安息の中にある。それなのに、この重苦しい満たされなさは何だろう。彼は窓辺に立って、街を見下ろした。家々からかすかな灯火が揺らめき、遠くに祭司の幕屋の輪郭がぼんやり浮かんでいる。
「あの幕屋は仮のものだ」
口に出した言葉が、石の間で反響した。ダビデは背筋を震わせた。そうだ。主の箱は今も、天蓋の下、帳の内側に安置されたままだ。わたしは杉材の宮殿に住みながら、主のための住まいを建てずにいる。この思いは、日に日に強くなるばかりだった。
翌日、ダビデは石工たちの長、ヒラムを呼び寄せた。彼の指は羊皮紙の上を滑り、線を引いていった。「レバノンの杉を求める使者を送りたい。大量にだ。切り出した石も必要だ。大きなもの、礎にふさわしいものを。」ヒラムは頷きながら、王の目に見える熱に少し戸惑っていた。計画は急だった。しかし王の声には、かつての戦いの指揮をとる時のような、あの張り詰めた確かさがあった。
材料の調達が始まって数日後のことだ。ダビデは祈りの中で、はっきりと告げる声を聞いた。それは心の内側から湧き上がる、静かでありながら揺るぎない言葉だった。
「あなたは多くの戦いをし、多くの血を流してきた。わたしの名のために、あなたの手で神殿を建てることはできない。」
ダビデは跪いた。石の床の冷たさが膝から伝わる。失望か。むしろ、深い納得のようなものが胸を満たした。主の思いは常に高く、自分の熱意だけでは測れない。そして、次の言葉が続いた。
「見よ、あなたに息子が生まれる。彼は平和の人となる。わたしは彼に周囲の平穏を与えよう。その名はソロモン。彼の治世に、わたしはイスラエルに平安を授ける。彼がわたしの家を建てる者となる。」
ダビデは顔を上げた。窓から差し込む光が塵を照らしていた。ソロモン。彼の幼い顔が思い浮かぶ。まだほんの子どもだ。だが主が定められた時は必ず来る。それまでに、わたしにできることは何か。
それからのダビデは変わった。単なる材料集めではなく、一つの使命としての準備が始まった。彼は自ら石切場へ足を運んだ。巨大な石塊が切り出される轟音。職人たちの掛け声。火花が散る鉄の工具。ダビデはそれらを一つ一つ確かめるように見つめた。「礎には、これほどの大きさが必要だ」と、彼は自ら石に手を当てた。表面のざらりとした感触。これが主の家の土台となる。思いだけではだめだ。形にしなければ。
ある夕方、彼は鍛冶屋の作業場に立ち寄った。鉄を打つ鈍い音が響く。青銅を鋳るための型が並んでいる。「釘も、留め金も、すべて上質のものを。雨風に耐え、百年も二百年も支えるものを。」鍛冶屋の親方は黙って頷き、炎に照らされた顔に汗が光っていた。ダビデはそこに、戦いのための剣ではなく、建設のための道具が生まれる瞬間を見ていた。
そして、ついにソロモンを呼んだ。少年は背が伸び、まなざしに聡明さが増していた。ダビデは彼を連れて、丘の上に集積された資材の山を見せた。レバノン杉の積み木のような香りが辺りに立ち込め、切り揃えられた石灰岩が夕日を受けて黄金色に輝いている。
「ソロモンよ、聞け」ダビデの声は低く、震えを帯びていた。「わたしは、主のための家を建てたいと願った。しかし主はわたしに言われた。『あなたは多くの血を流した。わたしの名のために家を建てることはできない』と。」
少年は真剣な面持ちで父の言葉に耳を傾けた。
「だが主は約束された。あなたが平和の人となり、主があなたに平安を与え、あなたの手によってその家が建てられると。だから今、わたしはこのすべてを準備している。金、銀、青銅、鉄、材木、石。それらは計り知れないほどだ。更に、職人も石工も、あらゆる匠があなたに仕える用意ができている。恐れるな。主があなたと共におられる。主はあなたを導き、イスラエルを治めさせ、この工事を成し遂げさせてくださる。」
ダビデは息子の肩に手を置いた。その手は、かつて槍を握り、琴を弾いた手だ。今は、次の世代を支えるためにここにある。
「心を尽くし、魂を尽くして主を求めよ。主の掟を守れ。そうすれば、あなたは栄える。」
ソロモンの目に、幼さの残る不安と、新しい決意が混ざり合って光った。彼はうなずいた。言葉はなかった。丘の上の資材が、二人の沈黙を包み込んだ。
ダビデの働きは続いた。彼はイスラエルのすべての指導者たちを集めた。長老たち、部族の長たち、将校たちが宮殿の広間に集まる。ダビデは彼らを見渡した。多くの顔は、共に戦場を駆けた顔だ。
「兄弟たちよ」ダビデの声は広間を満たした。「わたしたちの主が与えてくださった平安を、あなたがたは見ている。主は周囲の敵をことごとく鎮められた。この地は今、主の民のものとなった。しかし、主の箱はなお幕屋の下にある。わたしは心を燃やして、主のために家を建てようとした。だが主の言葉がわたしに臨んだ。家を建てるのはわたしではなく、わが子ソロモンだと。」
溜息とも囁きともつかない音がざわめく。ダビデは続けた。
「主はソロモンにこう約束された。『わたしは彼をわが子とし、彼はわたしを父とする。わたしは彼の王座をイスラエルの上に永遠に堅く立てる』と。だから今、あなたがたに願う。心を一つにして、あなたがたの神、主を求めよ。主の聖所を建てるために、このソロモン、わたしの子を助け、支えてほしい。」
広間は水を打ったように静まった。そして、一人の長老がゆっくりと立ち上がった。彼の顔には深い皺が刻まれている。「王よ。私たちはあなたと共に歩んできた。主があなたと共におられたように、ソロモンとも共におられると信じる。私たちは全力を尽くそう。」
その言葉を合図に、他の者たちも頷き、声を上げ始めた。同意と決意の声が、石の壁にぶつかって響いた。ダビデはその中に立ち、目を閉じた。主よ、あなたがわたしの家を堅く立ててくださるとの約束を感謝します。どうか、この子の手が確かなものとなりますように。この民の心が、常にあなたに向けられますように。
準備は全て整った。数えきれぬほどの石材、森のような材木、きらめく金属。そして何よりも、民の心に灯された一致の火。ダビデはもう、自ら工事に携わることはできない。しかし彼の日々は、祈りと計画の細部への指示で満たされていった。彼はしばしば、集積された資材のそばにただ立ち尽くした。風が杉の間を抜け、石の隙間で微かに唸る。それは、まだ形にならない神殿の、最初の賛美のようだった。
ある夜、彼はソロモンを枕元に呼んだ。「すべてはあなたに任せた。強くあれ、雄々しくあれ。主が共におられるからだ。」ソロモンは父の手を握った。その手は、かつてほど力強くはなかった。しかし、その握りには、譲り渡すものの確かさが込められていた。
ダビデはやがて、静かに目を閉じた。彼の見た夢は、礎が据えられ、柱が立ち、香の煙が立ち上る神殿の幻だった。そこには、血の匂いはなかった。ただ、平和と、永遠に続く主の臨在の光だけが満ちていた。




