聖書

エジプトの夜、神の裁きと救いの物語

出エジプト記11章に基づく物語を、詳細で生き生きとした描写を用いて日本語でお伝えします。神学的な正確さを保ちつつ、物語を展開します。

エジプトの夜は深く、空には無数の星が輝いていた。しかし、その美しさとは裏腹に、エジプトの地には緊張が張り詰めていた。モーセとアロンは、ファラオの前に再び立ち、神の言葉を告げるために宮殿に向かっていた。彼らの足取りは重く、心には神の厳しい裁きに対する覚悟が感じられた。

「主はこう言われる。」モーセの声は静かながらも、威厳に満ちていた。「真夜中ごろ、わたしはエジプトの中を進む。エジプトの地のすべての初子、王座に座するファラオの初子から、ひきうすのうしろにいる女奴隷の初子まで、すべての初子が死ぬ。また、家畜の初子も死ぬ。」

ファラオの顔は青ざめ、目には怒りと恐怖が交錯していた。彼はモーセを睨みつけ、声を荒げて言った。「お前たちは何を言っているのだ!エジプトを滅ぼすつもりか!」

しかし、モーセは動じなかった。彼の目には、神の約束に対する確信が宿っていた。「主はエジプトとイスラエルを区別される。イスラエルの民には何の災いも起こらない。これは、主がエジプトとイスラエルを区別されることを、あなたが知るためである。」

ファラオは言葉を失い、ただモーセとアロンが宮殿を去るのを見送るしかなかった。彼の心には、これまでの災いが次々と蘇ってきた。ナイル川の血、蛙、ぶよ、あぶ、疫病、腫れ物、雹、いなご、暗闇……。そして今、最後の災いが迫っていた。

モーセとアロンがイスラエルの民のもとに戻ると、彼らはすぐに神の指示に従い、準備を始めた。各家族は子羊を選び、その血を家の門柱とかもいに塗るように命じられた。これは、主がその家を過ぎ越し、災いが及ばないための印であった。

「この夜、私たちは主の過越の祭りを守る。」モーセは民に語りかけた。「子羊の肉を火で焼き、苦菜を添えて食べるのだ。腰帯を締め、足に履物を履き、手に杖を持って食べる。これは主が私たちをエジプトから救い出されるための備えである。」

民はモーセの言葉に従い、静かに、しかし迅速に準備を進めた。家々には緊張が漂い、子供たちは不安そうに母親のそばに寄り添っていた。しかし、彼らの心には、神の約束に対する希望もあった。

夜が更け、真夜中が近づくにつれ、エジプト全土に不気味な静けさが広がった。突然、天から深い悲しみの叫びが聞こえた。それは、エジプトの家々から上がる嘆きの声であった。初子たちが次々と息を引き取り、母親たちの泣き声が夜の闇に響き渡った。ファラオの宮殿でも、王子の死が告げられ、王の悲鳴が宮廷に響いた。

しかし、イスラエルの民の家々には静けさが保たれていた。主の過越の印が施された家には、災いが及ばなかった。彼らは神の約束を信じ、その保護の下に安らかに過ごしていた。

夜明け前に、ファラオはモーセとアロンを呼び寄せた。彼の顔は憔悴し、目には涙が浮かんでいた。「立ち去れ!」彼の声は震えていた。「お前たちとイスラエルの民は、エジプトを去るがよい。主に仕えるがよい。お前たちが願っていた通り、羊や牛も連れて行くがよい。ただ、私から離れてくれ!」

モーセとアロンはファラオの前にひざまずき、神に感謝の祈りをささげた。そして、イスラエルの民はすぐにエジプトを出発する準備を始めた。彼らは長い間待ち望んでいた自由を手に入れる瞬間を迎えようとしていた。

この夜、主の裁きと救いが同時に現れた。エジプトには悲しみが満ちたが、イスラエルには希望が満ちていた。神の約束は真実であり、彼らの信仰は報われたのである。

この物語は、出エジプト記11章に基づき、神の裁きと救いの両面を描いています。エジプトに対する最後の災いを通じて、神がご自分の民を守り、導かれることが明らかにされています。

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