聖書

「コリントの悔い改めと神の慰め」

**第二コリント人への手紙 第七章に基づく物語**

**タイトル:悔い改めと慰めの物語**

エーゲ海の穏やかな波がアテネの港に打ち寄せる中、パウロはローマへの長い旅の途中、コリントの教会からの知らせを待ちわびていた。彼の心は重かった。以前、コリントの信徒たちに宛てて書いた手紙には、厳しい言葉が含まれていた。彼らの中に不品行や分裂が広がっていることを知り、パウロは愛をもって彼らを戒め、悔い改めを促したのだ。

「あの手紙は、彼らを傷つけてしまったのではないか……」

パウロは夜ごと、祈りの中でこの思いに駆られた。しかし、彼は神の御心を信じていた。真の愛とは、時に痛みを伴うものであることを知っていたからだ。

そしてついに、テトスという忠実な同労者がコリントからの知らせを持ってやってきた。テトスの顔には、安堵と喜びの表情が浮かんでいた。

「パウロ先生、コリントの兄弟姉妹たちは、あなたの手紙を真剣に受け止めました。彼らは深く悲しみ、悔い改めたのです!」

パウロの胸に熱いものがこみ上げた。テトスは続けた。

「彼らは、あなたが愛をもって書かれたことを悟り、自らの過ちを認めました。不品行を悔い改め、分裂の心を捨て、互いに和解したのです。彼らは今、神の前に正しく歩もうとしています。」

パウロは目を閉じ、神に感謝をささげた。彼が恐れていたのは、信徒たちが怒りや失望で心を閉ざすことだった。しかし、神は彼らの心を動かし、**「神のみこころにかなった悲しみ」**(第二コリント7:10)を与えてくださったのだ。この悲しみは、救いをもたらす悔い改めへと導くものであり、世の悲しみのように無駄に終わるものではなかった。

テトスはさらに語った。

「コリントの人々は、あなたを慕い、あなたとの再会を心待ちにしています。彼らは、あなたの指導を切望しているのです。」

パウロは深く頷いた。彼の心は慰めに満たされ、喜びで溢れた。コリントの信徒たちの変化は、神の御業そのものだった。彼はテトスに言った。

「私たちの祈りが聞かれたのだ。神は、彼らの心を変えてくださった。この慰めは、ただ彼らのためだけでなく、私たちのためでもある。」

パウロはすぐに筆を執り、コリントの教会に再び手紙を書くことにした。

**「兄弟たちよ。私たちは、あなたがたの悔い改めを知り、心から喜んでいます。神の御前で正しく歩むあなたがたの姿は、私たちの大きな励ましです。悲しみがあなたがたを悔い改めに導いたように、今や喜びがあなたがたを強くします。神は、真実な者を決して見捨てられないのです。」**

こうして、パウロの心は重荷から解放され、新たな希望に満ちた。コリントの信徒たちの悔い改めは、単なる人間の努力ではなく、神の恵みの証であった。

そして、この出来事は、後の世代にも語り継がれるべき教訓となった──

**「神の悲しみは人を生かし、世の悲しみは死に至らせる。」**

パウロは再び旅路についた。彼の足取りは軽く、心には確信があった。神の愛は、すべての過ちを越え、真の和解へと導くのだと。

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