**イザヤ書12章に基づく感謝と賛美の物語**

ユダの地は長い間、苦難と試練の時を過ごしていた。主の民は背きの罪により、敵の手に渡され、都エルサレムは荒廃し、人々は捕囚の憂き目に遭った。しかし、預言者イザヤを通して、主は彼らに希望の言葉を語られた。

「その日、あなたは言うであろう。『主よ、私はあなたに感謝します。あなたは私に向かって怒られたが、その怒りはすでに去り、私を慰めてくださった』と。」（イザヤ12:1）

### **第一章：捕囚からの解放**

バビロンの地で苦しむ民の中に、エルヤキムという名の敬虔な老人がいた。彼は幼い頃から主の教えを守り、捕囚の地でも信仰を捨てなかった。ある夜、彼は夢を見た。炎の柱のような主の御顔が現れ、「わたしはあなたがたを連れ戻す」と告げられた。目覚めたエルヤキムは、震える手で預言者イザヤの巻物を開き、12章の言葉を読み、涙を流した。

「主は確かに私たちを憐れんでくださる！」

やがて、預言の通り、ペルシャの王キュロスがバビロンを征服し、ユダの民は故郷へ帰還する許しを得た。エルヤキムは家族と共に、長い旅路を経て、ついにエルサレムの廃墟に立った。荒れ果てた神殿を見上げながら、彼は跪き、声を上げて祈った。

「主よ、あなたの怒りは去り、私を慰めてくださった。今、私はあなたを賛美します！」

### **第二章：救いの泉を汲む**

帰還した民は、荒れた町の再建に取りかかった。ある日、エルヤキムは仲間と共に、シロアムの池の修復作業をしていた。すると、彼はふとイザヤの言葉を思い出した。

「見よ。神は私の救いである。私は信じて恐れることはない。主なる神は私の力、私の歌、私の救いとなられた。」（イザヤ12:2）

彼は仲間たちに語りかけた。「この水は、ただの水ではない。主が与えてくださった命の水だ。私たちはこの水を汲み、主に感謝しなければならない。」

人々はうなずき、壊れた水瓶を修復し、清い水をくみ上げた。その日から、彼らは毎朝、水を汲むたびに主を賛美するようになった。

### **第三章：全地への宣言**

エルサレムの再建が進む中、エルヤキムは民を集めて言った。

「主は私たちに言われた。『あなたがたは感謝のうちに水をくむように、救いの泉から喜びをもって汲みなさい』（イザヤ12:3）。そして、この喜びをすべての民に告げ知らせよう。主の御名をほめたたえ、そのみわざを国々に宣べ伝えるのだ！」

人々は賛同し、祭壇を築き、犠牲を捧げた。琴や鼓の音が響き、歌が湧き上がった。

「主をほめたたえよ。その御名を呼び求めよ。国々にみわざを告げ知らせよ。主の御名があがめられますように！」（イザヤ12:4）

### **第四章：聖なる都の喜び**

年月が流れ、エルサレムの城壁が完成し、神殿も再建された。人々は祭りの日、オリーブの枝を振りながら、喜びの歌を歌った。

「シオンに住む者よ、声を張り上げ、イスラエルの聖なる方をほめたたえよ。主はあなたがたのうちにおられ、大いなることをなされた！」（イザヤ12:6）

エルヤキムは年老いていたが、その目は輝いていた。彼は孫たちに語った。

「主の約束は決して変わらない。たとえ再び苦しみの時が来ても、主は私たちを捨てず、救いの手を差し伸べてくださる。だから、いつまでも主に信頼し、感謝と賛美を捧げなさい。」

そして、彼は静かに息を引き取った。だが、彼の信仰と賛美の言葉は、世代を超えて受け継がれていった。

**終わり**

この物語は、イザヤ書12章のメッセージを基に、神の救いと賛美の重要性を描いています。主の怒りは一時的であっても、その慈しみは永遠です。私たちも、どんな状況においても主に信頼し、感謝と賛美を捧げる者でありたいものです。