**ダニエルと王の食卓**
バビロンの都は、金色の太陽の下で輝いていた。巨大な宮殿の壁には、精巧なレリーフが刻まれ、異国の神々の像が並び、人々はその威光に圧倒されていた。ここは、ユダの民にとっては見知らぬ地であり、捕囚の民として連れてこられた者たちの心には、不安と孤独が渦巻いていた。
その中に、四人の若者がいた。ダニエル、ハナンヤ、ミシャエル、アザルヤである。彼らはユダの貴族の子息で、容姿端麗、知恵に富み、あらゆる学問に通じていた。バビロンの王ネブカドネザルは、こうした優秀な若者を宮廷に仕えさせ、自国の文化と習慣を教え込もうとした。
王は侍従長アシュペナズに命じた。
「わが食卓の美食と葡萄酒で、彼らを養え。三年の後、彼らはわが前に立つにふさわしい者となるのだ。」
しかし、ダニエルは心に決めていた。
「わたしたちは主の律法に従って生きる。王の食べ物は、聖なる民としてふさわしくない。」
彼はアシュペナズに申し出た。
「どうか、私たちに野菜と水だけを与えてください。十日間試してみて、他の者たちと比べてください。」
アシュペナズは不安だった。もし彼らの顔色が悪くなれば、王の怒りを買うかもしれない。しかし、ダニエルの強い意志に押され、ついに承諾した。
十日が過ぎた。驚くべきことに、ダニエルと三人の友人の顔色は、王の美食を食べた若者たちよりも輝き、体も健康そのものだった。神は彼らの信仰に応え、粗食であっても彼らを力強く支えられたのだ。
アシュペナズはそれ以降、彼らに野菜と水を与え続けた。そして、三年の教育期間が終わる頃、ネブカドネザル王は若者たちを呼び出し、直接問いただした。
王は驚いた。ダニエルとその友人たちは、他のどの若者よりも知恵と知識に優れ、王の前に立つにふさわしい者となっていた。彼らはバビロンの魔術師や呪術師の十倍も賢く、神が彼らに特別な知恵を授けていることが明らかだった。
こうして、ダニエルと三人の友人は王の側近として仕えることとなった。しかし、彼らの心は常に主に向けられており、異国の地にあっても、神の戒めを守り通した。
**信仰の勝利**
この物語は、神に従う者がいかなる状況でも守られることを示している。ダニエルたちは、王の命令に逆らう危険を冒しても、神の律法を優先した。その結果、神は彼らを祝福し、敵対する者たちの前でさえも栄光を与えられた。
私たちもまた、この世の誘惑や圧力に負けず、神の言葉に従い続ける者でありたい。たとえ周囲が異なる道を選んでも、信仰をもって歩む者には、神の知恵と恵みが注がれるのである。