聖書

ゼカリヤの幻 金の燭台とオリーブの木

**ゼカリヤの幻:金の燭台と二本のオリーブの木**

主の宮が再建される時代、預言者ゼカリヤは深い霊的な幻を見た。それは夜のことであったが、彼の心は覚醒し、神の声に耳を傾けていた。すると突然、彼の前に一人の御使いが現れ、彼を優しく揺り起こした。

「ゼカリヤよ、目を覚ませ。あなたが見るものを私に説明しなさい。」

ゼカリヤは目を開くと、そこには純金で造られた燭台が輝いていた。その燭台は、中央に一本の支柱があり、七つのともしび皿がついていた。各々の皿には七つの注ぎ口があり、それらは油を絶えず灯りに供給していた。燭台の両側には、二本のオリーブの木が立っており、その枝は燭台の上に伸び、黄金の油を注いでいた。

「主よ、これは何でしょうか。」ゼカリヤは尋ねた。

御使いは答えた。「これは主の言葉である。『これはゼルバベルへの言葉だ。武力によらず、権力によらず、ただ私の霊によって、と主は言われる。』」

ゼカリヤはその意味を悟ろうとした。ゼルバベルはユダの総督であり、エルサレムの神殿再建を導いていた。しかし、その働きは困難に満ち、人々の力だけでは成し遂げられないものであった。御使いは続けた。

「大いなる山よ、お前は何者だ? ゼルバベルの前に平地となれ。彼は『恵みあれ、恵みあれ』と叫びながら、かしら石を据えるだろう。」

幻はさらに深く展開した。ゼカリヤは二本のオリーブの木に目を留め、再び尋ねた。「燭台の左右にあるこの二本のオリーブの木は何を表しているのですか。」

御使いは答えた。「これは、全地の主の前に立つ二人の油注がれた者である。」

ゼカリヤはその言葉に深くうなずいた。二本のオリーブの木は、当時の大祭司ヨシュアと総督ゼルバベルを象徴していた。彼らは神の民を導く者として、神の霊によって力を得、神殿の再建と民の回復を成し遂げる使命を与えられていた。

やがて幻は消え、ゼカリヤは静かな夜の闇に戻った。しかし、彼の心には確信が満ちていた。主の働きは人の力ではなく、神の霊によって完成する。たとえ困難が山のように立ちはだかっても、神の恵みによってそれは平地となる。

こうしてゼカリヤは、この幻を民に語り伝え、彼らを励ました。神殿の再建は単なる建築以上のものであり、神の約束の成就であり、未来の救いの象徴であった。金の燭台の灯りは、神の臨在を表し、二本のオリーブの木は、神の導きと供給を意味していた。

「主の霊こそがすべてを成し遂げる。信仰をもって歩め。」

ゼカリヤの言葉は、民の心に希望を灯し、彼らは再び主に信頼して前進したのである。

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