聖書

「ヨハネの見た天の玉座の幻」

**天の玉座の幻**

ヨハネは、パトモス島での黙想の中、突然、天の扉が開かれる幻を見た。主の声が雷のように響き、「ここに上れ。わたしは、この後起こるべきことをあなたに示そう」と告げた。その瞬間、ヨハネの霊は引き上げられ、眩い光に包まれた天の御国へと導かれた。

彼の目の前には、輝く玉座が現れた。その玉座は、あらゆる宝石よりも荘厳で、碧玉と赤めのうのように深く輝き、周囲には緑がかったエメラルドの虹がかかっていた。玉座からは、稲妻のような光と轟く雷鳴が発せられ、七つのともしびが燃え盛っていた。これらは神の七つの霊であり、全地を巡り、神の御心を行き渡らせるものであった。

玉座の前には、水晶のように透き通ったガラスの海が広がり、その静かな水面には、神の栄光が映し出されていた。そして、玉座の周りには、二十四の座に二十四人の長老が白い衣をまとい、黄金の冠をかぶって座していた。彼らは神の前にひれ伏し、その栄光をたたえていた。

突然、四つの生き物が玉座の中央と周りに現れた。これらの生き物は、全身が目で覆われ、絶えず神の御業を見つめていた。第一の生き物は獅子のようであり、第二は雄牛のよう、第三は人間の顔を持ち、第四は飛ぶ鷲のようであった。彼らにはそれぞれ六つの翼があり、昼も夜も休むことなく叫び続けた。

**「聖なるかな、聖なるかな、聖なるかな、全能者にして主なる神。昔いまし、今いまし、やがて来られる方。」**

二十四人の長老たちは、この賛美を聞くたびに玉座の前にひれ伏し、自分たちの冠を投げ出して祈った。

**「わたしたちの主、わたしたちの神。あなたこそ、栄光と誉れと力とを受けるにふさわしい方。あなたは万物を造られ、御心のままにそれらは存在し、創造されたからです。」**

玉座からは、絶えず御霊の風が吹き抜け、天の宮全体が神の臨在に震えた。ヨハネはこの光景に圧倒され、神の聖さと威厳の前に言葉を失った。この幻は、神がすべての歴史を支配し、終わりの時に至るまで御国の計画を完遂されることを示していた。

やがて、玉座から巻き物が現れ、七つの封印で閉じられる時が来ることをヨハネは知った。しかし、それはまだ後のことであった。今、彼が見たのは、天の礼拝の荘厽な光景——すべての被造物が、永遠に聖なる神を崇め讃える姿であった。

こうしてヨハネは、天の現実を垣間見、やがて地上に下る神の裁きと救いの完成を予感したのである。

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