**知恵の道を歩む者**
昔、イスラエルの地に、二人の兄弟がいた。兄はエルカナ、弟はヨナタンと呼ばれた。二人は同じ父のもとで育てられたが、その生き方はまるで違っていた。
エルカナは勤勉で、朝早くから畑に出て、神から与えられた土地を耕した。彼は父から教えられた「主を畏れることは知恵の初め」(箴言1:7)という言葉を胸に刻み、どんな小さな仕事にも誠実に取り組んだ。彼の畑は豊かに実り、収穫の季節には黄金の麦穂が風に揺れ、周囲の人々は驚きの目を向けた。エルカナはその収穫を貧しい者たちと分かち合い、「正しい者の賃金は命をもたらす」(箴言10:16)という言葉の通り、彼の慈しみは多くの人を生かした。
一方、弟のヨナタンは怠惰で、快楽を求めて日々を過ごした。父の教えを無視し、「愚か者は知恵を侮る」(箴言1:7)という言葉の通り、彼は仲間と酒を飲み、不正な賭け事にふけった。彼の畑は荒れ果て、雑草が生い茂り、収穫はほとんどなかった。それでも彼は悔い改めず、「暴虐の富は無益である」(箴言10:2)という真理を悟ることができなかった。
ある年、大旱魃が国を襲った。雨は降らず、土地は乾ききっていた。人々は飢えに苦しみ、食べ物を求めてさまよった。エルカナは蓄えていた穀物を分け与え、井戸を掘って水を供給した。彼の知恵と準備が多くの命を救った。人々は彼を祝福し、「主に祝福された者の頭は豊かになる」(箴言10:22)という言葉が現実となった。
しかし、ヨナタンは何の備えもしておらず、飢えに耐えかねて兄の元に助けを求めた。エルカナは彼に食物を与えながら言った。「愚か者は働くことを嫌うが、賢い者は神の知恵に従って生きる。お前も悔い改め、主の道に立ち返るのだ。」ヨナタンは初めて自分の愚かさを悟り、涙を流して悔い改めた。
それからヨナタンは心を入れ替え、兄と共に畑を耕し、神の教えを学んだ。彼の人生は「主を畏れる者の願いはかなえられる」(箴言10:24)という約束の通り、変えられていった。二人の兄弟は、知恵と愚かさの違いを身をもって知り、後の世代にその教訓を語り継いだ。
こうして、神の言葉は真実であり、知恵に歩む者は祝福され、愚かさに陥る者は自らの行いによって苦しむことを、人々は学んだのである。