**エレミヤと王ゼデキヤの対峙**

ユダの都、エルサレムは重苦しい空気に包まれていた。北から迫るバビロンの大軍の噂が町中に広まり、人々の顔には恐怖の影が刻まれていた。王宮では、ゼデキヤ王が家臣たちを集め、必死に策を練っていた。しかし、彼の心には確信がなかった。不安に駆られた王は、ついに預言者エレミヤに助言を求めることにした。

王は祭司パシュフルと共に、エレミヤのもとへ使者を遣わした。「どうか、我々のために主に尋ねてほしい。バビロンの王ネブカドネザルが我々を攻めようとしている。主はかつて多くの奇跡を行われ、敵を撃退された。今も我々を救ってくださるだろうか？」

エレミヤは静かに主の言葉を待った。すると、主の声が彼に臨んだ。

「ゼデキヤに告げよ。『見よ、お前たちと戦おうとしているバビロンの軍勢を、わたしは退けるどころか、むしろ彼らをこの町に向かわせる。わたし自身が、怒りと憤りと大いなる怒りをもって、お前たちと戦う。強力な手と伸ばした腕で、お前たちを打つ。』」

エレミヤの言葉は厳しかった。主はユダの民を裁くために、バビロンをその道具として用いられるというのだ。

さらに主は言われた。「この都に住む者たちに、二つの道を示せ。一つは命への道、もう一つは死への道だ。この町にとどまる者は、剣と飢饉と疫病によって死ぬ。しかし、バビロンの軍勢に降伏する者は、命を永らえることができる。わたしがこの町を顧みることはない。災いをもって裁き、火をもって焼き尽くす。」

ゼデキヤ王の顔は青ざめた。彼は助けを求めたが、主の答えは逆に滅びの宣告だった。エレミヤは王の目の前で、はっきりと宣言した。「主は言われる。『見よ、わたしはお前たちに災いを下し、お前たち自身を滅ぼす。わたしの怒りは燃え上がり、お前たちを焼き尽くす。』」

王宮は静まり返った。家臣たちは顔を見合わせ、誰も言葉を発することができなかった。ゼデキヤの心は混乱し、彼はエレミヤの言葉を拒もうとした。しかし、預言者の声は変わらなかった。「主の裁きは避けられない。悔い改めよ。さもなければ、滅びは確実だ。」

王は結局、エレミヤの警告を無視し、バビロンとの戦いを選んだ。その結果、エルサレムは炎に包まれ、多くの民が剣に倒れ、生き残った者は捕虜として遠くバビロンへ連れ去られた。

主の言葉は真実だった。ゼデキヤが主に従わなかったため、ユダは滅び、王自身も目を潰され、鎖につながれてバビロンへと引き渡された。エレミヤの預言は、そのまま成就したのである。

この物語は、主の警告を無視する者の末路を語り、悔い改めと従順の重要性を今に伝えている。