**詩篇139編に基づく物語:神の深い愛と導き**
ある静かな夜、ダビデは羊飼いの丘に座り、満天の星を仰ぎ見ていた。遠くで羊の鳴き声が聞こえる中、彼は心に湧き上がる思いを抑えきれず、神への賛美の言葉を紡ぎ始めた。
「主よ。あなたは私を探り、知っておられます。」
ダビデは深く息を吸い込み、夜風が頬を撫でるのを感じた。彼は自分が神から隠れることなどできないことを悟った。たとえ暗闇に身を潜めても、神の目から逃れることは不可能だった。
「私が座るのも、立つのも、あなたは知っておられ、遠くから私の思いを悟っておられます。」
彼はかつて、敵から逃れるために洞窟に隠れた時のことを思い出した。あの時でさえ、神は彼と共におられ、彼の苦しみを見逃さなかった。神の御前には、闇も光も同じように輝いていた。
「たとえ私が天に上ろうとも、あなたはそこにおられ、よみに床を設けようとも、あなたはそこにおられます。」
ダビデは目を閉じ、神の存在の大きさに圧倒された。彼がどこに行こうとも、神の御手が彼を導き、支えてくださる。たとえ海の果てに漂流しようとも、神の右の手が彼を捕らえ、守ってくださる。
「あなたは私の内臓を造り、母の胎内で私を組み立てられました。」
彼は自分の存在そのものが神の御業であることを思った。母の胎内で形造られる前から、神は彼の一生をご存知だった。彼の歩みはすべて神の書に記され、一日も欠けることなく定められていた。
「神よ。あなたの思いは、私にとってあまりにも深く、その数はあまりにも多い。」
ダビデは涙を流した。神の知恵と愛は計り知れず、彼の理解をはるかに超えていた。たとえ砂を数えようとしても、神の思いの一端にすら届かない。
「神よ。どうか悪しき者たちを私から遠ざけてください。」
彼は神の正義を思い、心から悪を憎む者たちが滅びることを願った。しかし同時に、神が彼の心を探り、もしも自分に邪悪な道があるならば、それを教え、正しい道に導いてくださるように祈った。
「私を導き、とこしえの道に歩ませてください。」
ダビデは再び星空を見上げ、深い安らぎに包まれた。彼は神の愛がどれほど深く、広いかを悟り、心から賛美をささげた。
「主よ。あなたは私を探り、知っておられます。私が悟ることができないほど、あなたの御業は驚くべきものです。」
そして、夜明けの光が丘を照らし始める頃、ダビデは神の御前で新たな決意を胸に、一日の始まりを迎えたのだった。