**出エジプト記34章:主の栄光とモーセの十戒の更新**
荒野の風がシナイ山の岩肌を撫でる中、モーセは再び神の御前に立つ時を迎えていた。前回、民が金の子牛を造った罪のため、彼は怒りのあまり最初の石の板を砕いてしまった。しかし、主は憐れみ深く、モーセに新たな契約を授けることを約束された。
夜明け前、モーセはふたたびシナイ山に登る準備を整えた。彼の心は重かった。民の罪を思い、神の怒りを覚えたからだ。しかし、神の声は優しく、彼を招かれた。「モーセよ、朝早く起き、シナイ山に登り、そこでわたしの前に立て。」
モーセは新しい石の板を携え、単身で山を登った。頂上に着くと、雲が山を包み込み、神の臨在が彼を覆った。突然、雷鳴のような声が響き渡った。「主、主、憐れみ深く、恵みに富み、忍耐強く、慈しみとまことに満ち、幾千代にもわたって慈しみを保ち、咎と背きと罪を赦す者……」
モーセはひれ伏し、顔を地につけた。神の栄光が彼の前に通り過ぎ、その威厳に圧倒された。主は再び語りかけた。「見よ、わたしは契約を結ぶ。わたしがかつてだれにもしたことのない驚くべきことを、あなたの民の前で行おう。」
モーセは震える声で答えた。「主よ、もし御心に適うのであれば、どうか私たちの中を進んでください。確かにかたくなな民ですが、私たちの咎と罪を赦し、あなたの嗣業として受け入れてください。」
主はモーセの願いを聞き入れ、再び十戒を石の板に記すことを宣言された。モーセは四十日四十夜、山にとどまり、パンも食べず、水も飲まず、神の言葉に耳を傾けた。
ついに、主は新たな十戒を授け、モーセに命じられた。「これらの言葉を書き記せ。わたしはこれに基づいて、あなたと契約を結ぶ。」モーセは神の御指によって刻まれた石の板を受け取り、その顔は神の栄光に照らされて輝いていた。彼自身は気づかなかったが、民は彼の顔の輝きに畏れを抱き、近づくことができなかった。
モーセはベールを顔に掛け、民に主の言葉を伝えた。「主はこう言われる。『見よ、わたしはあなたがたを導き、約束の地へと進ませる。しかし、異教の神々と契約を結んではならない。彼らの祭壇を破壊し、偶像を粉砕せよ。』」
民は悔い改め、主の命令に従うことを誓った。モーセの顔の輝きは、神との交わりの証であり、民は主の恵みと裁きの両方を深く心に刻んだのだった。
こうして、イスラエルの民は新たな契約のもと、再び主に従って歩み始めた。荒野の旅路はまだ長かったが、主の臨在は常に彼らと共にあった。モーセの顔の輝きは、神が共におられることの確かなしるしであった。