灰の中に座る男は、空を見上げた。夕闇が、ウツの地の荒れた平原を紫がかった影で覆い始めていた。昼の焼けつくような熱気が引き、代わりに、骨の髄まで沁みるような冷たさが迫ってくる。ヨブは、かさぶただらけの手を、ひざの上に組んだまま動かさなかった。皮膚は引き裂かれ、痛みはもはや鋭いというより、重たい鈍器で内側から絶え間なく打たれているようだった。彼は、目に映る天の広がりを、ただただ見つめていた。
ふと、口が開いた。声は、砂利を踏みしだくような、低く乾いたものだった。
「確かに、わたしは知っている。それは真実なのだ。どうして人間が神に正しいとされえよう。神と争おうとする者で、一つでも答えられた者があろうか。」
風が吹き、埃を舞い上げた。ヨブの頬を、一本の筋が伝った。汗か、あるいは別のものか。彼はそう言いながら、心の内で、かつての友人たちの言葉を反芻していた。彼らは理路整然と語り、神の正義を説いた。しかし、その正義の前に、ヨブ自身のこの破れ切った現実は、あまりにも歪んでいた。善い行いを積み、避けまいと努めてきたそのすべてが、何の前触れもなく粉々に砕かれた。神と論争したい。自分の無実を、この苦しみの不当を、滔々と訴えたい衝動に駆られる。だが、次の瞬間、それは空しい妄想だと打ちのめされる。
「あの方には知恵があり、力強い。逆らって、無事でいられた者があろうか。山々を、怒りにまかせて移される方。地を、その場から動かされる方。太陽に命じれば昇らない。星々を封じ込められる。」
ヨブは目を閉じた。瞼の裏に、幼い頃から聞かされてきた天地創造の物語が、鮮やかに、そして圧倒的な力をもって甦ってくる。神は荒れ狂う海に境界を定め、レハブと呼ばれる混沌の怪物を槍で貫かれた。北の空を虚空に広げ、大地を淵の上に置かれた。彼の口の中で、言葉がさらに溢れ出した。
「彼は独り、天の果てを歩まれ、高い雲の頂をその足跡とされる。おりゅう座も、すばるも、南の密室も、彼の造られたもの。計り知れない大いなる業、数えきれない奇跡。」
それは賛美の言葉だった。同時に、絶望の確認でもあった。そのような方の前に、塵に過ぎない自分が、どうして口を開くことができよう。仮に召喚され、法廷に立たされたとしても、どれほどの弁明が可能だろうか。自分が正しいと主張しても、彼は私を罪ある者と宣告されるに違いない。たとえ無罪であったとしても、私の口は自らを罪に定めるだろう。私は潔白だ。しかし、それを問題にすることさえ、もはや無意味なのだ。
ふと、近くで砂漠の小蜥蜴が走り去る音がした。ヨブは目を開け、自分の痩せ細った足首を見下ろした。かつては力強かったその脚は、今や皮と骨だけのようだ。
「彼は力強い。わたしが呼び求め、答えられるだろうか。たとえ正しい訴えがあっても、彼は聞き入れられまい。嵐の中で私を粉々にされ、理由なく傷を増し加えられる。息をする暇も与えず、苦いもので私を飽かしめられる。」
夜空に、一粒の星がまたたいた。遠い、冷たい光。ヨブはそれを眺めながら、ある思いに捉われた。もし、仲裁者がいて、神と自分との間に立ってくれたら。もし、その方が、神の御手から私を解き放ち、この恐るべき威圧感から自由にしてくれたら。しかし、その思いは、すぐに深いため息とともに消えた。そんなものは存在しない。だから、私は私自身の口で、私の魂を厭う。この生き地獄を、なぜ私は選ぶのか。もう、消えてしまいたい。塵に帰りたい。だが、それさえも許されないのだ。
「私は自分自身を罪ある者とは思わない。しかし、それでもなお、私の口が、私を罪深い者と言うだろう。私は潔白だ。しかし、私の命は、もはや私のものではない。」
疲労が、思考の末端を曖昧にしていく。論理は崩れ、残るのは、感覚だけだ。冷たい地面。体中を走る疼き。そして、空漠とした、途方もない「向こう側」の存在。
「一つである。それゆえ、私は言う。潔白な者も、悪しき者も、彼は滅ぼされる。災いが突然に襲い、無実の者を嘲笑う時、地は悪人の手にゆだねられる。彼は、さばき人の顔をおおわれる。それが、彼のなされることなら、だれが彼に『何をしているのか』と言えよう。」
ヨブの声は次第に力なく、呟くようになっていった。まるで、自分自身に言い聞かせるように。
「彼は怒りを少しもとどめられない。ラハブの支えさえ、彼の下にかがむ。ましてや、私がどうして彼に答えられよう。どのような言葉を選んで、論じ合うことができよう。たとえ私に正しい訴えがあっても、答えてはくださらない。ただ、ただ、その御手が、私を打つのだ。」
彼は、少し間を置き、深く、震える息を吸った。夜空は、今や無数の星々で埋め尽くされ、その静謐な輝きは、かえって彼の孤独を際立たせた。
「嵐で私を押しつぶされ、私の傷を理由なく増し加えられる。息をする隙も与えず、苦さで私を満たされる。力について言えば、見よ、彼こそ力強い。さばきについて言えば、『だれが、私を召喚できよう』。たとえ私が正しくても、私の口が私を罪に定める。潔白であっても、それは歪んで示される。」
ここまで来ると、言葉自体が、彼をさらに深い疲労へと導いていくようだった。彼は、天を仰ぐ首をうつむけ、自分の膝、そしてその下に広がる灰と土を見つめた。すべては空虚だ。すべては、一つの巨大な、理解を超えた意思の前に、かき消される塵に過ぎない。
「私は潔白だ。私自身の命さえ厭う。それゆえ、私は言う。それは一つである。善人も悪人も、彼は滅ぼされる。」
そして、最後に、最も苦い認識が、沈黙の中で心を満たした。神は、もし試練を与えられるなら、それは人の罪のためだと、人々は言う。しかし、この苦しみに罪の理由を見出せないなら、それでもなお、私は神の前に何者でもない。彼を非難することは、嵐に向かって吠えるに等しい。ただ、その存在の前には、耐えるしかない。耐え、そして、なおも、この理不尽の中に、その御手を見いだすよりほかはない。
風が再び吹き、ヨブのぼさぼさの髪を揺らした。彼は動かなかった。星々の下、彼はただ、灰の中に座り、答える者のいない問いを、闇の中に放っていた。夜は、それを何も返さずに、深く静かに、ますます深くなっていくだけだった。




