暑い午後の光が、崩れた石壁の隙間から斜めに差し込んでいた。埃がその光の筋をゆっくりと舞い上がる。かつては賑わいで満ちていたこの都の大路には、今や人影はほとんどなく、ただ風だけが、敷石の間から伸びた雑草をかすかに揺らしている。
彼女は、廃墟と化した城壁の影に腰を下ろしていた。正確に言えば、下ろさざるを得なかった。足には傷があり、深く裂けた青ざめた服からは、かつては裕福であったことを示す上質な布地の切れ端が垂れ下がっている。彼女の名はエルサレム。少なくとも、この土地の人々がそう呼んできたものの、今はただの「女」だった。
目を上げると、見覚えのある広場が見える。子供たちが笑いながら走り回り、商人たちがにぎやかに呼び声をあげた場所だ。今は、遠くからやって来た商人らしい数人の男が、彼らとは違う言葉で話しながら、安価で奪い取った品々を並べている。彼女がかつて所有していた銀の杯が、土の上に無造作に放り出されているのを認めたとき、喉の奥で嗄れた息が漏れた。涙はもう尽きていた。ただ、からっぽの内側が、鋭い陶器の破片で掃かれるような感覚だけが残る。
かつては、諸国の民がここに巡礼に来た。祭りの季節には、この道は歌と香りの煙で満たされた。彼女は「完全なる美」「全地の喜び」と呼ばれた。今、通りかかる者は、かつての彼女を知っている者でさえ、目を背ける。痩せ衰えたその姿、埃にまみれた髪、茫然とした目――彼らは速度を速め、小声で何かをつぶやきながら去っていく。孤独とは、このことだ。物理的に独りである以上に、自分という存在が、世界の記憶から消し去られようとしている感覚。かつて愛した者たち、彼女を支えていた者たちは、遠く離れた地にいる。あるいは、もうこの世にはいない。
夜が来るのが怖かった。昼の静寂は重苦しいが、夜の闇は、あらゆる影に敵の気配を滲ませた。かつては、夜警の松明の灯りが城壁の上を規則正しく移動し、安心を運んでくれた。今は、不規則に跳ねる獣たちの眼だけが光る。彼女は、崩れかけた門の脇にある空洞に身を隠した。冷たい石の感触が、かすかに残る体温を奪っていく。
ふと、彼女は自分の内側に目を向けた。神々しいほどの繁栄、他国からの羨望、満ち足りた平安――それらすべてが、どこから来たものであったかを、今なら理解できる。それは彼女自身から湧き出たものではなかった。まるで、豊かな水路から引かれた水が庭を潤していたように、すべては「あの方」からの贈り物だった。しかし、彼女はその水路を忘れ、水が自分で湧き出ると思い込んだ。贈り物を当然の権利のように振る舞い、贈り主の声に耳を塞いだ。
だからこそ、今の荒廃は、単なる偶然の災難ではない。鋭い痛みとともに、それが「裁き」であることを彼女は知っている。敵の手による破壊は、その鋭利な刃物のように直截的で残酷だが、その刃を握ることを許されたのは、彼女自身が長い年月をかけて「あの方」との絆をほぐし、切ってきた結果なのだ。その自覚が、傷口に塩を擦り込む。敵の嘲りよりも、自分自身の過去の愚かさが、今、静寂の中で彼女を責め立てる。
遠くで、狼のような声が長く引く。風が、壊れた家屋の戸をぎしぎしと揺らす。彼女は膝を抱き、額をその上に埋めた。祈りの言葉さえ出てこない。ただ、深いため息のような、言葉にならない叫びが、胸の奥底から渦巻いている。
「ああ…」
それは、朝を待つための、あまりに長い夜だった。




