聖書

ファラオの夢とヨセフの知恵

二年目も終わりに近いある朝、ファラオは目を覚ますと、胸が騒いでいた。昨夜見た夢の残像が、頭にこびりついて離れない。ナイルの岸辺に立つ自分。そこから七頭の雌牛がゆったりと現れ、葦の茂みで肥え太り、毛並みはつややかだった。すると、その後から七頭の、見るからに痩せ衰えた雌牛が上がってきて、岸辺にいた七頭の肥えた雌牛を、一頭残らずのみ込んでしまった。吞み込まれたはずなのに、痩せた牛の見るも無惨な姿は何一つ変わらない。そこで目が覚めた。

まだ寝床の中で汗ばんでいると、また眠りに落ち、今度は一つの茎に、太って良い実をたわわに実らせた七つの穂が育った。見ていると、その後に、東風に焼かれたような、やせ細った七つの穂が生えてきて、その豊かな七つの穂を飲み込むように覆い隠した。ここで再び目が覚めると、朝の光が寝室を徐々に満たし始めていたが、心は暗い不安でいっぱいだった。

「夢か。」

彼は呟き、床から起き上がった。しかし、その夢の生々しさは、単なる寝言の領域を超えている。体中が、何か重大なことが告げられているという予感で震えた。早朝から廷臣たちを召集し、エジプト中の知者、呪法師をすべて王宮に呼び寄せるように命じた。

宮殿の広間は次第に人で埋まっていった。香油の香り、麻の衣擦れの音、低い話し声。ファラオは玉座に座り、二つの夢を細部に至るまで語った。すると、白亜の列柱の前に整然と並んだ男たちが、それぞれに知恵を絞り始める。ある者は古い文書を引き、ある者は星の動きを説き、ある者は神々の機嫌を占った。饒舌な解釈がいくつも飛び交う。しかし、どれ一つとしてファラオの心の騒ぎを鎮めるものはなかった。彼らが語る言葉は、学問的な衒いや、ありきたりな吉凶の判断にすぎない。夢そのものが持つ、不気味で圧倒的な現実感を、誰も説明できない。広間の空気は次第に重く、不穏になっていく。ファラオの眉間に深く刻まれた皺は、彼の苛立ちを物語っていた。

その様子を、宮殿の給仕役の長は、柱の陰から固唾を飲んで見守っていた。彼は突然、何かを思い出したように目を見開いた。あのヘブライ人の青年、あの牢屋の中でのことが、ありありと甦ってくる。自分と料理役の長が見たあの不可解な夢。あの青年が、見事に、そして恐ろしいほど正確に解き明かしたことを。そしてその解き明かしが、まさに現実のものとなったことを。自分は職務に復帰し、もう一方は処刑された。彼の喉元が渇いた。これは言わなければならない。ためらっている場合ではない。

「私は、今日、自分の過ちを思い出します。」

給仕役の長が一歩前に出て、深く頭を下げた。不安と後悔の入り混じった声で、彼は語り始めた。かつて自分がファラオの怒りに触れ、護衛長ポティファルの牢屋に繋がれた時のこと。そこにいた同じヘブライ人の青年、ヨセフ。彼ら二人が見た夢。ヨセフはそれを神からの告げであると言い、三人のぶどうの枝、三つのパンかごの夢を、驚くべき確信をもって解き明かした。そしてそれは、まさにその通りになった。

「彼の解き明かしは、単なる推測ではありませんでした。まるで、夢そのものを書かれた方が、その意味を直接、彼の口を通して語られたかのようでした。」

給仕役の長の証言は、これまでの学者たちの弁舌とは全く質が異なっていた。そこには、実際に起こった出来事の重みと、当時の畏怖の念が滲んでいた。ファラオは沈黙した。そして、ためらうことなく命じた。

「その者を連れて来よ。」

早足の使者が牢屋へと走った。護衛長ポティファルの屋敷の地下、湿った石の壁に囲まれたその場所で、ヨセフはただ、与えられた日々を過ごしていた。髪も髭も伸び放題、粗末な麻の衣をまとっているが、目だけは澄み、何かを静かに見つめているようだった。彼が突然、牢屋から引き出され、髪を剃られ、体を洗わせられ、新しい衣を与えられた時、何が起こっているのか、ほとんど理解できなかった。ただ、長いトンネルの先に、かすかな光が見え始めたという予感だけがある。

彼はファラオの前に立った。広間の荘厳さ、金色の輝き、重い沈黙。玉座に座る神王の威圧感。ヨセフは深く頭を下げた。

「私は夢を聞いた。あなたはそれを解き明かすことができるという。」

ファラオの声は低く、探るような調子だった。ヨセフは顔を上げ、正面を見据えた。その目には、卑屈な恐れも、得意げな自信もなかった。

「私ではありません。しかし、神がファラオの幸いについて告げられるでしょう。」

その一言が、広間の空気を一変させた。彼はすぐに夢の詳細を求めた。ファラオが再び、あの不気味な雌牛の話、焼けた穂の話を語り始めると、ヨセフは微動だにせず、一言一言に集中して聞き入った。

ファラオの語りが終わるやいなや、ヨセフの口から言葉が流れ出した。それは、準備された演説というよりも、彼の中を通して湧き出てくる泉のようだった。

「ファラオの見られた夢は、一つです。神がなさろうとすることを、ファラオに示されたのです。七頭の良い雌牛は七年、七つの良い穂も七年。それは七年の大豊作です。後に上って来た七頭の痩せた雌牛は七年、やせ細って東風に焼けた七つの穂も七年。それは七年の飢饉です。」

彼の声は明瞭で、迷いがない。

「エジプト全土に来ようとしていることはこれです。豊作の七年の間、国全体に食糧が非常に豊富になります。しかし、その後に来る飢饉の七年が、すべての豊かさを国から食い尽くし、先の豊作がこの国で記憶に留められないほど、飢饉が国を荒廃させるでしょう。」

ヨセフは一息つき、そして核心へと言葉を進めた。夢が二度繰り返された意味を。

「それがファラオに二度示されたのは、このことが神によって定められ、神が直ちにそれをなさろうとしておられるからです。ですから今、ファラオは、聡明で知恵のある人を見いだし、エジプトの国を治めさせなければなりません。ファラオは、国中に監督官を任命するよう行動を起こし、豊作の七年の間に、エジプトの地の産物の五分の一を徴収なさるべきです。」

彼の言葉は、警告から具体的な政策提案へと、驚くほど自然に移行していった。まるで、夢の解釈とその対策が、彼の中で最初から一つの絵のように繋がっていたかのようだ。

「彼らに、来るべき良い年の全ての食糧を集めさせ、ファラオの管理の下で、町々に穀物を蓄え、保管させなければなりません。その食糧は、エジプトの地に来る七年の飢饉のための国の備えとなり、この国が飢饉によって滅びることはないでしょう。」

言葉が終わると、広間は水を打ったような静けさに包まれた。今まで交わされたどんな解釈よりも、この青年の言葉は、夢の不気味な現実感を、はるかに説得力のある形で「現実」へと翻訳していた。それは単なる予言ではなく、神の摂理に基づく、具体的な行動の指針だった。

ファラオは玉座の肘掛けに手を置き、深く考え込んだ。廷臣たちも、今の言葉が従来の知恵とは次元の異なるものであることを悟り、声も出せずにいた。やがて、ファラオが顔を上げ、側近たちに言った。

「我々は、神の霊の宿っているこのような人を、他に見いだすことができるだろうか。」

それは問いかけではなく、宣言に近かった。ファラオはヨセフの方を向き、声を張り上げた。

「神がこれらすべてのことをあなたに知らせたのであるから、あなたのように聡明で知恵のある者は他にいない。あなたが私の家を治めよ。私の民は全て、あなたの言葉に従って動くであろう。ただ玉座においてのみ、私はあなたにまさる。」

そう言うと、ファラオは自分の指から印章のついた指輪を外し、ヨセフの指にはめた。亜麻布の上等の衣を彼に着せ、金の首飾りをその首にかけた。そして自分の第二の車に彼を乗せ、人々が彼の前に「アブレク(ひざまずけ)」と叫ぶように命じた。こうして、ファラオは彼に全エジプトの支配者としての権威を委ねたのである。

「私はファラオである。」

王は言った。

「あなたの許しなしに、エジプトの国中で、一人として手を上げる者も足を上げる者もないであろう。」

そして、彼にエジプト名「ツァフェナテ・パネア」を与え、オンの祭司ポティフェラの娘アセナテを妻として与えた。ヨセフは三十歳になっていた。囚人から、一瞬にしてエジプト全土の宰相へ。彼は王の命に従い、エジプト中を巡った。豊作の七年の間、地はことごとく豊かに実った。彼は町々の周りに巨大な倉を建て、畑から上がる産物の五分の一を、可能な限り集めさせた。それは海辺の砂のようで、量りきれないほどの穀物が、町ごとに蓄えられていった。

七年の豊作が終わりを告げると、ヨセフの言葉の通り、七年の飢饉が始まった。すべての国に飢饉が訪れたが、エジプトの全土にはパンがあった。民が飢えでファラオに叫ぶと、ファラオは全てのエジプト人に言った。

「ヨセフのもとに行き、彼があなたがたに言うことを行え。」

飢饉が地上全体を覆う中、ヨセフはすべての倉を開き、エジプト人に穀物を売った。しかし、飢饉はエジプトだけではなく、カナンの地にも厳しかった。その噂は、遠くヤコブの耳にも届き始める。彼は息子たちを見やり、深くため息をついた。

「なぜ、お前たちは顔を見合わせてばかりいるのだ。聞け、エジプトには穀物があるという。下って行って、そこから我々のために穀物を買って来い。そうすれば、我々は生きながらえて、死なずに済むのだ。」

こうして、ヨセフの兄弟たちは、穀物を買うためにエジプトへと下って行った。かつて彼らが穴に投げ込んだ弟は、その時、玉座の傍らでエジプト全土の穀物の配給を司る、偉大なツァフェナテ・パネアとして座っていた。彼らはそのことを全く知らず、ただ飢えを凌ぐためのわずかな穀物を求めて、顔を地に伏せてひれ伏すしかなかった。ヨセフは兄弟たちを見て、彼らとわかったが、彼らにはヨセフがわからなかった。長い年月、苦難、そして思いがけない栄達が、彼を別人のように変えていたからだ。

彼は、突然こみ上げてくる懐かしさと痛みを、必死に押し殺した。そして、厳しい口調で彼らに尋ねるのであった。物語は、もう一つの、より複雑な兄弟の物語へと、静かにその幕を開けようとしていた。

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