聖書

慰めの手紙

マケドニアの野は、朝もやに煙っていた。足元の小石が軋む音だけが、この沈黙を破る。パウロは歩みを緩め、肩にかけた粗布の袋の紐をなおした。体中の節々が、旅の疲れを訴えている。それでも彼の心は、それ以上の重さで満ちていた。コリントのことだ。

前の手紙を託してから、幾晩眠れなかったか。あの言葉は、あまりにも鋭すぎたのではないか。傷つけすぎたのではないか。愛するがゆえの言葉が、かえって裂け目を深くしてしまうことは、彼自身が幾度も経験してきたことだ。風が丘を渡り、痩せた草を揺らす。その音さえ、遠く離れたあの港町の喧騒のように聞こえた。

テトスに出会ったのは、フィリピの町外れの、壁が剥げた宿屋でのことだった。テトスの顔を見た瞬間、パウロの胸にあった重い石が、ふっと宙に浮いたような感覚を覚えた。彼の目に、不安はなかった。むしろ、旅の埃にまみれながらも、どこか晴れやかだった。

「先生」
テトスは声を詰まらせた。その一言に、すべてが込められていた。

炉端で、テトスは語り始めた。コリントへの彼の到着。信徒たちの最初の緊張。そして、あの手紙が読み上げられた時の、重く張りつめた空気。
「彼らは、耳を塞ぎはしませんでした」
テトスが湯気の立つ土器の杯に手を伸ばしながら、静かに言った。
「むしろ、じっと聞いていました。顔を上げて」

パウロは目を閉じた。耳に、コリントの家々で朗読される自分の言葉が聞こえるようだった。あの痛みを伴う言葉が、石を投げるようにではなく、傷を洗い流す水のように、彼らの間に注がれていく様を想像した。

「彼らは、ただ悲しんだのではありません」テトスは言葉を探すように、ゆっくりと続けた。「彼らの中に、ある熱い動きが起こり始めたのです。それは…悔い改めというにはあまりにも静かで、しかし、家の礎を揺るがすほどの力を持つもののように見えました。ある者は、あなたへの慕わしさを口にしました。ある者は、涙を隠そうともせず、『私たちは、あの方の心をどれほど苦しめてきたのか』と呟きました」

パウロは炉の火を見つめた。炎が不規則に踊り、壁に奇妙な影を投げかけている。彼は、あの「神の愛する者たち」が、今、真実の悲しみの中で、自らの内側を見つめている姿を思い浮かべた。それは、自分を正当化するためでも、単に叱責を恐れるためでもない悲しみ。世界が逆さまにひっくり返るような、その悲しみこそが、救いへと至る道筋なのだと、彼は知っていた。

テトスの言葉は続く。かつて問題を起こした者が、自ら進んで償いの手を差し伸べたこと。冷淡だった者が、ひたむきな熱意を取り戻したこと。そして何よりも、パウロ自身への信頼が、かえってあの手紙を通して深く根を下ろしたこと。

「彼らは、あなたを待ち望んでいます」テトスは最後に、かすれた声で言った。「あの手紙が、たとえ一時的に彼らを悲しませたとしても、それが悔い改めへと導いたことを、私は見ました。彼らはそのことを、私を通してあなたに伝えたがっています。あなたの悲しみが、彼らを生かしたのです」

パウロは顔を上げた。宿屋の窓から、マケドニアの灰色の空が覗いていた。その曇り空の向こうに、コリントの青い海と港を思った。彼の胸中で、長く居座っていた「戦い」と「恐れ」が、まるで潮が引くように後退していくのを感じた。代わりに満ちてきたのは、言いようのない安堵ではない。それ以上に力強い、深い、深い喜びだった。

彼はテトスの手を握った。その手は、旅の疲れで硬く、ごつごつしていた。
「お前が無事で、しかもこんな良い知らせをもたらしてくれたことが、私にとってどれほどの慰めか」パウロの声は震えていた。それは老いのためでも、疲れのためでもなかった。
「私は今、あの手紙を書いたことを後悔してはいない。たとえ一時期、後悔したとしても――今は後悔していない。それは、その悲しみが、神のみ心に添ったものであり、やがて救いをもたらす悔い改めへとあなたがたを導いたと分かったからだ」

外では、雨がぱらつき始めた。細い雨が、乾いた土に染み込んでいく。パウロは立ち上がり、わずかに腰の痛みを感じながら、窓辺に歩み寄った。雨の匂いが、旅路の埃を洗い流していく。

すべてが新しくなる。コリントの兄弟たちの心も、彼自身のこの重苦しい心も。テトスがもたらした知らせは、単なる報告ではなかった。それは、約束の地図が、一枚また一枚と確かめられたような確信だった。愛は、時に痛みを伴う。しかし、その痛みを恐れて言葉を失うなら、愛そのものが萎えてしまう。

彼は背を向け、粗末な机の上の羊皮紙とインク壺に目をやった。もう一度、筆を執ろう。今度は、この胸に溢れんばかりの慰めと喜びを、あの愛する人々へと注ぎ出すために。最初の一滴のインクが、白い皮の上に落ち、ゆっくりと広がっていった。それは、赦しの印のようにも、新たな契約の始まりのようにも見えた。

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